包茎を放置すると排尿機能や尿路全般に多角的なトラブルが発生しやすくなります。真性包茎の場合、包皮口が極端に狭いために尿線が飛び散ったり、包皮内部に残尿が溜まって細菌が繁殖しやすい状態が続いたりします。その細菌が外尿道口から上行感染を起こすと、尿道炎だけでなく膀胱炎や場合によっては腎盂腎炎など深刻な感染症へと進行する可能性が高まるのです。こうした感染症が繰り返されると、頻尿や残尿感、排尿時痛といった症状が慢性化し、仕事や日常生活に支障を来すばかりか、強い痛みが続くことで眠りの質まで損なわれるケースもあります。カントン包茎では亀頭根元の包皮が強く締め付けられるため、排尿時の激痛を避けようとするあまり我慢や回数の減少を招き、膀胱内に多量の尿が溜まったままになります。その結果、膀胱結石や上部尿路にまで炎症が波及する腎盂腎炎へと発展し、発熱や腰痛を伴う重度の症状を呈することも少なくありません。また、包皮内部に残った雑菌が前立腺や精巣上体にまで達すると高熱を伴う急性前立腺炎や精巣上体炎に見舞われることもあり、長期的な性機能障害につながる可能性も否定できないでしょう。こうした泌尿器トラブルを防ぐための基本は、入浴時に包皮を反転させて亀頭と包皮内板を優しく洗浄・すすぎし、排尿後には軽く押し出して残尿を減らすこと、そして清潔な下着をこまめに交換することです。しかしそれだけでは不十分な場合もあり、特に炎症を繰り返す方は抗菌薬の長期使用で薬剤耐性菌リスクが高まる懸念もあります。最終的には包皮そのものを除去する包茎手術が根治的対策として有効となり、環状切除術や包皮形成術によって包皮を常に露出できる状態にすれば通気性が改善され、感染が大幅に減少することが実証されています。加えて排尿コントロールが向上し、夜間起きる回数も減るなど生活の質を向上させる利点も大きいといえるでしょう。無論、手術には費用面やダウンタイムなどの検討事項が伴いますが、長期的な健康維持を考慮すれば決して高い代償ではありません。包茎は見た目の問題だけでなく、泌尿器疾患の重要なリスク要因でもあると認識し、症状が軽いうちに適切なケアや手術を検討していただくことを強くお勧めいたします。